スープが熱いタブロです。ヴルテ・ド・ヴォライユ【Velouté de volaille】
コンソメよりも高貴なスープ
リヨンが誇る 鶏のクリームポタージュ
Velouté de volaille
ヴルテ・ド・ヴォライユ
Salut! Tu vas bien?
どうも、シェフです。
リヨンの美食は、普段意識してる美味しさのハードルを軽く越えていく。高級食材に物を言わせる 素材ありきの料理とは一線を画す、素材の味をこれでもかと引き出す料理の数々。Canut カニュ(絹織物職人)に代表される決して裕福ではなかった労働者たちへの食事は、人々の知恵と工夫が集結された まさに世界一の料理群。歴史の中で苦労が背景にある分、深い味わいが出せるのかもね。そんな、美食の都の美味しさを、リヨンとその周辺の地方限定として済ませるのはあまりにもったいないでしょ?
今日は、そんなリヨンの技と優しさがぎゅーっと詰まった 滑らかな口当たりのポタージュを紹介するよ。リヨンの食を体験できる ディープなコンセプト・ビストロとしては、このクラシックなポタージュは外せない。ビロードのようになめらかな柔らかい食感。その名も、“ velouté ヴルテ ” 。ボジョレ🍷がすすむ奇跡のポタージュだ。
鶏のエキスを文字通り絞り出したこのヴルテは、高級スープの代表格、あのコンソメに勝るとも劣らないリヨンが誇る鶏のクリームポタージュ。
スプーンで掬ったその時から うっとりしてしまう魅力。なんとも言えないトロミ、かすかに輝きを秘めた艶やかな液面。ふわりと香る引き込まれそうな香りに食べる前から気持ちが高まるぞ⤴⤴
口に含むと感じる上品な口当たりの中に期待を裏切らない旨みがあふれ、芳醇な余韻が続く幸せ。まったりとしたコクと、優しくもほのかな酸味。じっくりと味わいたいのに、早く次の一口が待ち遠しい。
こんなに美味な奇跡のポタージュ。でも、あまり、お目にかかることはないよね。それもそのはず、とにかく手間がかかるから。リヨンでしかあり得ない、誕生することがなかったであろうこの鶏のヴルテには、カニュたちに少しで美味しく栄養のあるものを食べてもらいたいと、苦労を惜しまない メール・リヨネーズ(←)の愛がいっぱい詰まってるんだ。ほんと、感謝だね。
古典のレシピに忠実なのは、偉大なメール・リヨネーズへのオマージュ。カニュたちが愛した、優しさあふれるヴルテ・ド・ヴォライユは、こう作る!
まず、香味野菜を薄切りにして汗をかくようにじっくり炒めて、そこへ鶏ガラでとったスープをたっぷり加えてふつふつと沸く程度の火加減で香味野菜を煮出していく。で、1㎝厚さに削いだ鶏肉を(あとでミキサーにかけやすいようにこの厚さに)加えて、ぎりぎり沸かさない温度を保っては、ゆっくりうま味を引き出してあげるんだ。鶏のスープに鶏のうま味を重ねていくんだね。味が十分に溶け込んで、かすかにとろみがついたところでミキサーにかけ、どろどろのペースト状になった鶏肉をシノワで力強く裏漉す。水分を絞り出すイメージかな。旨味を一滴も残さないように、それこそ時間と力をかけて、エキスだけを丁寧に絞り出すんだ。この旨みのたっぷり詰まったスープのベースに、少しのルウを加えて艶が出るまでさらに煮込み、また裏漉す。最後に、生クリームと卵黄を溶かし込み、沸騰手前まで攪拌しながら加熱して味を調え、気にならないくらいの細かなざらつきを取り除くため最後にもう一度裏漉すよ。忘れちゃいけない、鶏のポタージュなんだから浮き身もとことん鶏で。せっかくだから、リヨンらしさを前面に。よし! 鶏のクネルなんてどうかな? 鶏肉をミンチにして拵えた、しっとりと柔らかいプチクネルを浮かべて ヴルテ・ド・ヴォライユの完成だ! 光沢を帯びた旨みのポタージュ。ん~~、美味いはずだ♡
じわりと染み渡る滋味、ノドを流れるなめらかさ、元気が漲る満足感。美食の都は、今夜も「美味しい!」で溢れてるんだね。
ヴルテ・ド・ヴォライユ、一滴残らず~~、Bon appétit!
NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
フランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を
chef
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Bistro Tableau Noir(←Website)