僕の師匠


今日は、僕のルーツの話。

何度かご来店下さった方や、県外からの旅行者、特に海外からのお客様からは必ずと言っていいほど聞かれることがある。

 - シェフはどちらで修行されたんですか?

自分で言うのは不思議な感覚になるけれど、実際 こんなにフランスなビストロも珍しい。フランスを感じられないビストロがあまりに多いから、異彩を放ってるのは確かかもしれないね。料理の味だけじゃなくて、メニューの構成や店内を埋め尽くす黒板、ワインのセレクトからも、リヨン愛、フランス愛が滲み出てる。まさに理想のビストロだ。でしょ?(笑)
フランス在住の友人が、リヨンへ遊びに行ってふらりと立ち寄ったブションで食事をしてたら タブロノワールでの食事を思い出したそうだ。その話を聞いた時、じわじわと感激したことをよく覚えてる。
日本の創作フレンチとはまるで違う、フランスの味を追求する求道者みたい。って驚かれたこともあったっけ。

フランス料理を志したキュイジニエなんだから、とことんフランスにこだわるのは当たり前だと僕は思ってるけど、しっかりと体現しようとする料理人は、少ないのかもしれないね。

そんな(ちょっと変わり者の)僕のルーツは、もちろん就職した銀座のホテルや、がむしゃらに汗をかいたレストラン時代、専門学校で料理人の卵たちに熱血指導の日々…。どれも重要な要素なんだけど、なんといっても 師匠 の存在が大きい。このブログでも何度か登場してるけど、1960年代にフランスへ渡り、星付きのレストランやホテルでシェフを務めた師匠。僕にとっては親父のような存在なんだ。まだ日本人がフランス料理の世界で認められていないあの時代、差別も含めて大変なこともいっぱいあったはずだけど、フランスの悪口を彼から聞いたことは一度もない。フランス愛は彼からの遺伝なのかもね。そんな彼は、もちろんまだ現役。生涯現役を貫く姿勢は、僕の目標であり、尊敬してやまない大先輩だ。


一度だけ一緒にフランスに旅行したことがある。ピエドコションで豚足やグラティネを食べたのもこの時だし、一流を知っておかなきゃだめだとタイユヴァンやドゥルーアンにもご一緒させてもらった。マルシェの賢い買い物の仕方も教わったね。懐かしい思い出です。

料理通信の生涯現役シリーズというコーナーに師匠が載っています。(→料理通信のページ
そして現在は、東京世田谷でフランスカレーとキッシュの店(→プチメゾン)をされています。ぜひ、予約をされてからお出かけください。

厳しくも、暖かく優しい 僕の師匠。僕のキュイジニエとしてのルーツ。
彼がいなければいまの僕はいない。凡事徹底 の大切さを叩き込んでくれたのも彼だ。

お会いしたら、25年前の自分に戻ってしまうんだろうね。
ちょっと緊張するけど、近いうちに、必ず伺います。



NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
ランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を 
chef

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