スープ・ド・ポワソン、レシピ 大公開!


Salut! Tu vas bien?
どうも、シェフです。

今年も始まりました。
岩礁の魚がまるごと溶け込んだ夏限定のスープは、濃厚で香ばしくガツンとくる旨さ
そう、ビストロの夏の代名詞、スープドポワソンだ!


太陽が嫉妬するほど、夏が似合う!
Soupe de poissons
スープ・ド・ポワソン
Soupe de poissons

 -スープドポワソン。聞いたことはあったけど、はじめて食べた!
って声も多い、夏のスペシャリテ。

 -なんで魚がこんなスープになるのか!摩訶不思議⁉
 -濃厚な理由は⁉
 -こんなに旨味濃いのに、甲殻類が入ってない⁉
 -独特の香りの正体は⁉


みんなが気になってる、スープ・ド・ポワソン。
今日は、このブログの読者だけに 美味しさの秘密と プロが作るレシピも包み隠さず特別に公開だ!
美味しさの秘密は、3つ。
 ①とにかく鮮度!
 ②とことん炒めきる!
 ③鰻のタレ式で進化する!

このスープは南仏の漁港ならではの料理なんだ。
市場に並ばない規格外の(でも鮮度は抜群!)魚やアラでつくっていたのが始まり。
南仏の海の男が作るんだ。作り方も豪快そのものだよ。
必要なのは、少しのポイントと、体力根気。これが味の決め手。


そして、分量。(出来上がり4L・20人分)

魚 1.7kg(カサゴ400g、アナゴ300g、その他の岩礁の魚1㎏)
ミルプワ 1.2㎏(魚の70%)(玉葱・ポロ葱・フヌイユ
にんにく 100g(皮むき・半割・芽取)
オリーヴ油 80g

パスティス 200g
水 8L

トマト 4個(湯むき・種取り・ざく切り)
トマトペースト 120g

フェンネルシード 大匙2
サフラン 大匙1.5
アニス 2個
鷹の爪 1本(半割・種取り)


作り方(概要)
①魚を丁寧に洗い、ぶつ切りにする。
②ミルプワを炒める。
③魚を加え、炒めきる。
④パスティス、トマト、トマトペースト、水を加え、混ぜながら沸騰させる。
⑤アクをしっかりとって、フェンネルシード以下を加え、約3時間煮込む。
⑥ムーランで漉して、味を調えて完成!



じゃぁ、実際に作ってみよう!

まずは、玉葱・ポロ葱・フヌイユ・にんにくを
たっぷりのオリーブオイルでじっくりと炒める。じっくり、じっくりと。

十分にしんなりしてきたら、
下処理をして、骨ごとぶつ切にした魚を加える。もちろん肝ごと!

 -どんな魚でもいいの?
適しているのは、岩礁に住む魚。青魚は入らない。

マルセイユのシンボル、カサゴは欠かせないぞ!
そして、特有のゼラチン質が魅力のアナゴもマストだ。
あとは、身や骨だけじゃなく、肝まですべてを使うから、鮮度がすごく大事。(これがキモ!)
美味しさの秘密その①だね。
サイズは揃っていなくてかまわない。大切なのは、とにかく鮮度だ。


ここからはしばらく強火で炒めていくよ。
すると、魚からびっくりするくらい どんどん水分が出てくる。

こんな感じ。
この水分がなくなるまで、強火で熱気と格闘だ。
夏の厨房でこの仕事。暑いぞ!

さぁ、だいぶ飛んできた。

完全になくなるまで。
もうすこし。

鍋底が色づいてきね。
ここからのやり方は前に書いたよね。覚えてる?
こんな写真、前に見たことない?
熱心なこのブログの読者なら、ピンとくるでしょ。
そう、あめ色玉葱の作り方(←)。

まったく同じ。
具材で蓋して蒸らしてこそげ落とす。この繰り返し。
何度も何度も。
もうこの段階で、魚はほぼ、フレーク状だ。
とにかく完全に水分を飛ばす。うまみだけを残すイメージ。

ここで手を抜かずに、とことん炒め切ることで、
まったく生臭くなく、濃厚で、香ばしさも加わった仕上がりになっていくんだ。
大事だぞ。美味しさの秘密その②だね。

炒め終わったら、煮込み始めるよ。
まず、パスティス をどぼどぼっと結構たっぷり加えてアルコール分を飛ばす。
トマト、トマトペーストを入れ、たっぷりの水。
かなり蒸発するから、出来上がりの倍量くらいは入るよ。

香辛料は、フェンネルシード、アニス、サフラン、トウガラシ。
サフランだって、ケチっちゃダメ。写真くらいどかっと入れる。
どかっっと。

沸騰させて、初めに出てきたアクはしっかりとる。
濁ったアクは完全にとる。
でもそのあとの煮込み中は、もうアク取りはしない。
色も香りもみんななくなっちゃうからね。
クリアな味を目指すんじゃないから、
なんでもかんでもアク取りし続けるってわけじゃないんだ。

しっかり味が出るまで、(スープに味がのるまで)煮込む。
煮溶かすことが目的なので、ぐつぐつ沸騰させ続けるよ。
鍋底が焦げないようにかき混ぜつつ、目安は3時間
ぐつぐつぐつぐつ、ぐつぐつぐつぐつ。

さぁ、完成?

まだまだまだまだ。
これからがお楽しみ。

次はハンドルのついた漉し器(ムーラン)で漉していく。
ミキサー使いたいところだけど、これも手作業。
適度なざらつき感が必要なスープ。それは、魚を食べてる感が欲しいから。
だから、ミキサーでガーっとまわして、とことんなめらかにしちゃうってのはだめなんだ。

漉す目も、粗いものから順番に。
全量漉したら、次に細かい目でもう一度。
どこまで細かくするかは、作り手のイメージだ。
どれくらいざらざら感を残したいか。
粗・中・細
漉す、というより、
すり潰しながら絞り出すって感じかな。

息があがっても、腕がパンパンになってきても休まない。
とにかくハンドルをぐるぐるぐるぐる回して、
うまみを残らず漉し出すんだ。 
ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。

漉しきったら、ストックしておいた前回のスープと合わせて
もう一度沸かして味を調えて、これで完成だ。 

前回のスープと合わせる。
これも、このスープ特有の作り方。(美味しさの秘密その③鰻のタレ式)

スープのすべてを使いきらないで、少量とっておいて必ずストックしておく。
次のスープを作ったら、前回のストックを混ぜ込む。
どうしても、出来立ては香りと味わいが尖ってる。
ストックを混ぜ込むのは、まろみを出すため。
と同時に、そのたびに魚の種類が増えていくでしょ?
種類が多ければ多いだけ、複雑にうまみが重なり合い、味わいに奥深さと広がりが生まれるんだ。

魚の種類がふえる?
そう。条件にあった魚なら、市場で簡単に10数種類が手に入る。でも、そんなに仕入れて仕込んだら、ものすごい量が出来ちゃうじゃない。ホテルの宴会じゃないんだから。

無理をしないで、その日に漁港に上がった魚で作る。
それが南仏の海の男たちの作り方。無理をしない。自然が相手だからね。

だから仕入れに向かったその時々で、僕と目が合った(美味しそうな食材は目立つよね。美味しくなるオーラを持ってる感じ)、4~6種類くらいの魚たちで作ることになる。
で、前回のストックを混ぜ込むから、まだ使ったことのない魚が仲間入りしたら、スープに溶けこんでる魚種が増えるってわけ。
最終的には、16~18魚種くらいが溶け込んだスープになるんだ。
うまいはずでしょ?


夏のあいだ中、進化を遂げ続ける、マルセイユのスペシャリテ
Soupe de poissons 
スープ ド ポワソン
カサゴ・アナゴ・キス・カレイ・メバル・コチ・ハゼ・カマス
今年は、この8魚種からスタートだ!

夏のスペシャリテ
Soupe de Poissons
瀬戸内は岩礁に住む魚の宝庫!どんどん美味しくなるぞ~!




ナツのビストロには欠かせない、スープ・ド・ポワソン。
きっと、この味にはじめて出会う人が多いはず。
あまりの美味しさに、

 -次も必ず食べます。
って嬉しいんだけど、夏の間しか黒板に載らないんだ、だから、
ナツのスペシャリテ!

さぁ、カラダをナツにして、Allez, on y va‼




NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
ランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を 
chef

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