【家でタブロ】豚バラ肉のラケ
レシピブログ、「家でタブロ」。特別な材料を使わずに美味しく作れるコツが満載と好評だ。じっくり読んでみると、料理人が普段 どんなことを考えながら仕事と向き合ってるのかも何となく伝わるんじゃないかな? 食べる人の美味しそうな笑顔を思い浮かべながら、素材の気持ちに寄り添うのがキュイジニエ。 料理は楽しい‼ を、今夜も。
さて今回は、laqué ラケ。
ラッカーを塗った…という意味なんだけど、どんな料理か分かるかな? 世界で一番有名なラケは、canard laqué(ラッカーを塗った鴨)。表面がツヤツヤに塗られたような鴨…。どう?ピンと来たかな? そう、北京ダックだね。本当にラッカーを塗るわけじゃなくて、煮詰めたソースを何度も重ね塗りしながら加熱していく。似た料理は日本にもあるじゃない。たれに浸けて塗りながら焼いていく、照り焼きに近いカモ。←
ラケは、蜂蜜とヴィネガーを煮詰めたソースを塗りながら焼いていき、ラッカーを塗り重ねたような艶焼きにする料理。使用するお肉はもちろん鴨でなくてもできる。旨味を伴ったソースが照りよくピカピカに輝き、香ばしさも手伝ってため息こぼれる美味しさに仕上がる、って寸法だ。
よし!さっそく、身近な豚肉を使ったラケにチャレンジしてみよう!刷毛で何度も塗りながら焼いていくのはちょっと大変だから、鍋照り焼きの応用で。
ツヤツヤてかてかに輝く仕上がりを目指して~~、Allez Cuisine et Bon Appétit !
Poitrine de porc laquée au miel
( プワトリヌ ド ポール ラケ オ ミエル )
豚バラ肉のラケ
材料
◆茹で豚(作りやすい分量)
豚バラ肉 500g(塊肉)豚肩ロースでも可
塩 1.5%(小さじ1強)
玉葱1/2個
人参(玉葱と同量)
にんにく2片
白粒胡椒10~20粒
白ワイン50㏄
上記の茹で豚から、適宜2人前を「豚肉のラケ」に使用。
残りの茹で豚と茹で汁は、明日のレシピブログで使います。
◆ソース(2人前)
蜂蜜 15g
レモン汁 大さじ1(1/2個分)
バター 5g
塩 1g
茹で汁 約30g
作り方(概要)
①豚バラ肉の重さの1.5%の塩をまぶし、一晩冷蔵庫へ。
②翌日鍋に移し、水から茹でる(約2時間)。
③茹で汁ごと冷まして、表面に固まった脂を取り除く。
④豚肉を焼き付け取り出し、そのフライパンでソースを作る。
⑤豚肉を戻し入れ、絡めれば出来上がり。
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①
塊の豚バラ肉に1.5%の塩をする。
簡易の塩豚だね。
うっすら塩をきかせることで
仕上がりの味の輪郭がくっきりするんだ。
うま味を濃くする役割も。
今回は、豚肉500gだから、塩7.5g
ビニール袋に入れ、
出来るだけ空気を抜いて密着させ冷蔵庫へ。
➁翌日、
豚肉の周りに染み出た水分を拭き取り、
しっかりかぶる量の水で茹で始める。
しっかり、沸騰させて、アクを丁寧に取り除く。
(茹でる前に肉の表面に浮き出た水分と汚れを
拭き取ってるので、
そんなにアクは出てこない。
アクって、不純物と滲み出た余分なたんぱく質が
固まったものなんだってわかるはず。)
アクを取り除いたら、
玉葱、人参、にんにく、
白粒胡椒、白ワインを加える。
火加減は弱火に。
湯の表面が微笑むくらいに調節するよ。
グラグラ沸かさないで、とろ火で2時間。
角煮を作るわけじゃないから、
煮崩れる手前までとことん柔らかく
するんじゃなくて、
焼いたステーキのように、適度な弾力を残して
茹で上げるぞ。
2時間茹でたら、竹串を刺して硬さをチェック。
とろとろに柔らかくしちゃうと、食べ応えがないので、
刺したときに、
少し手ごたえがあるくらいでちょうどいい。
しっかり冷まして、冷蔵庫へ。
③翌日、
表面に冷えて固まった白い脂を取り除く。
この茹で汁は使うから捨てないでね!
豚肉を茹で汁から取り出し、適宜 カットする。
冷めると切りやすいよね。
ある程度、厚みがあったほうが美味しい。
写真は、1.2cm厚さ。お好みで。
④
カットした豚バラ肉を焼いていくよ。
まずは、脂身から焼く。
2枚重ねて、くっつけて焼くと焼きやすい。
フライパンに脂はひかず中火でじっくり焼いていく。
フライパンの縁のカーブを利用して、
上手に焼いていこう。
フライパンの温度が上がったら
弱火にして、
時間をかけてじっくり焼いていく。
この焼きの工程は、
焼き色を慌てて作るんじゃなくて、
余分な脂を逃がしていくイメージ。
じわりじわりと、脂を焼き溶かしていく。
驚くほどたっぷりの脂が出てくるね。
しっかりペーパーで取り除くよ。
拭き取らずに、吸い取る。
脂身がキレイに焼けたら、
赤い印の2カ所の側面も。
青い印の底面は、焼きません。
パサついちゃうので。
この手間が、美味しさを生む。
じっくりじっくり、香ばしい豚肉を目指して。
脂身と側面が焼けたら、広げて、
表裏を焼いていくよ。
ここでも、じっくり焼きは継続だ。
出てくる脂は絶えず取り除く。
でも、ごしごし拭き取らないで、
フライパンを傾けて溜まった油を
吸い取るイメージ。
フライパンの表面には、焼けた豚肉のうま味がこびり付いてる。
それを拭き取ったら勿体ないからね。
脂だけを吸い取るよ。
脂は吸い取ったけど、
うま味がこびり付いてるフライパン。
ん~~~ん、理想的。
このまま、洗わずに、このフライパンで
ソースづくりを始めよう!
つくり方は簡単だ。
1、蜂蜜をカラメルに焦がして、
2、レモン汁で止める。
3、少量のバターでコクを加えて、
4、煮汁で濃度を調節する。
行くよ!
1,
蜂蜜を入れて、中火に。
初めは大きな泡がブクブクと湧いている状態。
だんだんと泡が細かくなってきて、
ふわーっと膨らみつつ沸く感じに。
そうすると、ここから色が付いてくる。
そのタイミングを見逃すな。
かすかに煙が見えるか見えないかの状態。
2,
火を消して、レモン汁を加えるよ。
けっこう、ジュワーっといい音が鳴るんだけど、
慌てないで、フライパンをゆっくりゆすって攪拌させる。
3,
バターを加え、余熱で溶かす。
4,
茹で汁約30㏄加えて、
塩1g(ひとつまみ)で味を調える。
これで、ソースの完成だ。
⑤
豚肉をフライパンに戻して、再び中火にかける。
沸いたソースを
スプーンでお肉にかけながら絡めれば完成だ!
Poitrine de porc laquée au miel
( プワトリヌ ド ポール ラケ オ ミエル )
豚バラ肉のラケ
この、照り。艶めき。
まさに、何度もラッカーを重ね塗りしたかのような仕上がりじゃない?
これぞ、ラケ。
ナイフで切って、口に運ぶと、
噛みしめるたびに甘酸っぱい香りが溢れる幸せ。
このラケソースは、アレンジが効く。
黒胡椒をがっつり効かせても面白いし、
醤油をちょっと垂らしてもまた違った趣に。
ローズマリーやミントなど、ハーブを絡めてもいいし、
レモンをワインヴィネガーに替えてもうまいぞ。
週末に向けて、さっそく豚肉 買ってこようか!
写真の付け合わせは、煮りんご。
好みで、じゃが芋、ほうれん草、青梗菜など、手に入りやすい野菜でお試しください。
残った、茹で豚と茹で汁。賄い料理に変身させるから冷蔵庫でキープしといてください。
レシピは、明日のBlogで。(⇒賄いルーローファン)
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