家でタブロ 農夫のスープ
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この新シリーズ。世界中のキュイジニエ仲間からも好反応!
今日も、あるフレンチレストランのシェフから、
「あまりに美味しそすぎてブログ通りにクレープ作っちゃったよ!」の声が。
これからも、どんどんアップしていくからね。
今回みんなに挑戦してもらうのは、「農夫のスープ」
Soupe cultivateur
スープ・キュルティヴァトゥール (キュルティヴァトゥール=農夫)
ちょっと舌噛んじゃいそうだけど、野菜の甘さがしみじみ嬉しい食べるスープだ。
具だくさんスープは、ポイントを外さなければ必ずおいしくできる。
いくよ!
毎回言ってるけど、分量はもちろん目安だ。
そっくり揃える必要はないから、夏になったら、茄子やトマトを加えたり、
いんげん豆やひよこ豆、グリーンピースも悪くない。
要になる、玉ねぎとじゃが芋は必ず入れてね。
4人分
ベーコン 1枚(ハムでも)
ポロ葱 10㎝(長ネギ1本でもOK)
玉ねぎ 1個
キャベツ 3枚
人参 1/2本
蕪 3個(日本の蕪は煮崩れやすいから大根10㎝で代用しても)
じゃが芋 2個
オリーヴ油 大さじ2
フォン・ド・ヴォライユ(鶏ガラと香味野菜のスープ)1L(ない場合は水でOK)
バゲット
にんにく
パセリ
左下から奥に向かって、 長ネギ、玉ねぎ、キャベツ、人参、大根 |
①すべて、paysanne ペイザーヌ に切る。厚さ2㎜、1㎝の色紙切りだ。
(大きさを揃えることは見た目のきれいさだけじゃない。食べたときにその答えがわかる。)
②鍋にオリーヴ油を入れ、ベーコン、長ネギ、玉ねぎ、キャベツまで入れて、
中火にかける。
(ベーコンを炒めて油を出してってイメージあるかもだけど、この分量だと先に焦げちゃうからね。野菜と一緒に。)
③塩ふたつまみ入れて、よく混ぜる。ジューって音がしてきたら、音がなくならない範囲でごく弱火にする。
(約束事。加えた野菜に必ず少量塩をするってこと。その都度。最後に塩で味の帳尻を合わせるんじゃなくて、美味しい状態を積み重ねていく。大切なポイントだ。)
(野菜炒めじゃないから焼き色はいらなくて、野菜が汗をかくくらいの温度でじっくりと、じっくりと。[suer] 甘くなるぞ~。)
④玉ねぎが十分にしんなりしたら(食べて甘いのを確認してほしいな)、人参。そして、人参に対しての少しの塩。
(同じ火加減のまま、時折混ぜながらじっくりと炒めていく。野菜が汗をかくように。)
⑤大根を加えて、塩をしたら、スープ(または水)を入れて、沸騰させよう!
⑥沸いたら、アクをしっかりとって(沸かないとアクはでない。沸騰を保ちながらちゃんとアクを取り切る。)そしたら弱火にして15分ゆっくりと煮る。
(野菜のうまさが溶け出るには15分かかるんだ。これは、また今度説明するね。)
⑦じゃが芋を加えて、さらに数分。味を見て、塩胡椒で調える。(これが、味を調えるってこと。ね。帳尻合わせじゃないでしょ?)
その都度野菜に塩をするのは、味のためだけじゃなくて、水分を出しやすく(汗をかきやすく)するためでもある。野菜の甘さを十分に出しきって、結果、その美味しさで加える塩の総量は、少なくなってるはずだ。
減塩で満足感。フランス料理って優しいよね。
そうそう、
僕はなんでもかんでも必ずローリエ入れるように指示してるレシピが大嫌い。
ローリエの香りは強いから、
せっかくの野菜の香りが負けちゃって、ローリエスープになっちゃう。
ローリエは、その香りが本当に欲しいときにだけ加えたい。
加えるにしても、家庭料理の分量なら、1/5枚も入れれば十分強烈な香りがつくよ。
気を付けてね。
もうひとつ。同じ理由で、固形のスープの素も考えようだ。この料理になら、水だけでだって十分にいける。化学調味料を加えるくらいなら、もっと具の分量を増やして(ベーコンも増やして)、うまみを増せば美味しくなるから、水で作ってほしい。
Soupe cultivateur
スープ・キュルティヴァトゥール
(農夫のスープ)
バゲットの薄切りをトーストして、好みでにんにくをこすりつける。
このガーリックトーストを浮かべて、くずしながら食べ進めて、最後にはパン粥みたいにドロドロにして食べる。スープは飲むんじゃなくて食べるんだってことがよ~く分かるね。あ~、たまんない。
すべての具材の美味しさが溶けこみ、
優しさがじわっと身体に染みわたるのが、スープの魅力。
具材をすべて paysanne ペイザーヌ(厚さ2㎜、1㎝の色紙切り) に切り揃えた理由。
ちょっと面倒でも、切り揃えたことで、
口の中ではすべてが一体で、その優しさに磨きがかかるとでも言えばいいのかな。
この地味な手間が、滋味を生む。
美味しさの秘密だ。
Allez Cuisine et Bon Appétit !