スープの薬味 [ その① ソース・ルイユ ]
Salut! Tu vas bien?
どうも、シェフです。
今日は、スープ・ド・ポワソン(←)に欠かせない薬味のひとつ。ソース・ルイユの話。
オレンジ色をしたマヨネーズみたいなソース。このルイユをスープに溶かし込むだけで、ただでさえ美味しいスープ・ド・ポワソンが、得も言われぬふくよかな余韻を伴う極上のスープにさらに化けるんだ。この旨さ、リピ率100%なのも頷ける。
sauce rouille
ソース・ルイユ
シェフによって作り方は千差万別。裏漉したじゃが芋を入れたり、ふやかしたパンを加えるレシピも見たことがあるな。この方法だと、かなりモタッとした仕上がりになるけど、いかにも地方料理っぽくて これも味があるんだよね。
でもどれも基本は同じ。にんにくをすりつぶし、卵黄を混ぜ、オリーヴオイルで繋いでいくというもの。それこそ、マヨネーズを作るみたいに、少しずつオイルを垂らしながら攪拌して乳化させていく。とろりとにんにく香るプロヴァンスの伝統ソースの完成だ。
で、このソースの名前、rouille(ルイユ)。これは「錆」という意味。つまり、赤錆色のソースであることがルイユを名乗れる条件のひとつ。唐辛子を一緒にすりつぶして辛味と赤みを移すレシピや、トマトペーストやサフランを混ぜ込むやり方も。
どれが正解という訳ではなくて、大切なことは このソースを何に使うのか。ソースだけが美味しくても意味がないでしょ? その店のスープ・ド・ポワソンの味わいにピッタリ合った(そのスープ専用に拵えた)、ソース・ルイユでこそ、価値がある ということ。
僕のつくるソース・ルイユは、もちろん、僕のつくるスープ・ド・ポワソンにあわせた完全オリジナルレシピだ。
唐辛子は不使用。代わりにローストした赤パプリカをすり潰して混ぜて赤錆色に。にんにくも、ガツンときかせすぎると食事が終わるまで口の中がにんにくに支配されちゃうから生のにんにくは使わない。皮を剝き、割って芽を外した状態でじっくり時間をかけてロースト。香ばしく柔らかくなったところで細かな目の網で裏漉して、にんにくペーストの完成。これを卵黄と混ぜて乳化させていくという按配。
仕上げに少しのスープ・ド・ポワソンを加えて、わずかに緩めて、スープとの絡みを良くしてあげるひと工夫も。にんにくのネガティブな要素をなくして、魅力的な香りだけを残す。このひと手間が、食べた後も臭わない、たっぷり食べても平気な理由なんだ。
カリカリ薄切りのバケットに、ソース・ルイユをたっぷり塗って、さらにグリュイエールチーズを載せて、スープに浮かべる。少しパンがふやけてきたらスープごと掬ってパクリ。
- ん~~♡ いま、日本で一番、夏のヴァカンスを満喫してるんじゃないか?
- 南仏プロヴァンスでもこれほどのスープはそうそうお目にかかれないでしょ!
という、優越感に浸れること間違いなしだ⤴⤴
もちろん、ルイユは直接スープに溶かし込んでもOK。味変を楽しみながら、夏のスペシャリテをお楽しみください。
ソース・ルイユのない夏は、考えられないってくらい、スープ・ド・ポワソンに欠かせない必須アイテム。じっくりとその美味しさをご堪能あれ!
暑いナツ限定の「美味しい」が目白押し。
夏のビストロへ、今夜もヴァカンス気分でお越しください。
NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
フランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を
chef
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Bistro Tableau Noir(←Website)