ビストロ春の白い煮込み、仔牛のブランケット【Blanquette de veau】




コトコト煮込んだ仔牛肉を
柑橘の香りのクリームソースで
Blanquette de veau
aux zestes ďagrumes
仔牛のブランケット


Salut! Tu vas bien?
どうも、シェフです。

古典を紐解く、大好評 Cuisine Classique シリーズ。偉大な料理には滲み出る魅力と、悠然とした中にどっしりと感じられる説得力。歴史が生んで、人々が育んできた古典料理を改めて味わってみよう!

今日は、春の白い煮込み料理。
リヨンでも子供から大人まで、誰もが大好きな白い煮込み、仔牛のブランケットだ。

Blanquette de veau
aux zestes ďagrumes
( ブランケェト ド ヴォ オゼスト ダグリュム )
仔牛のブランケット
柑橘の香りのクリームソース
ボジョレ片手に、春の香りを召し上がれ!


フランスは、煮込み料理天国!
窯やストーブの火を落とした後の余熱で、コトコト煮込む料理が発展した国だ。
それが、メール・リヨネーズ(←)から現代に受け継がれてきたビストロの技。

 それにしても、「コトコト煮込む。」
  ん~~、なんて美味しそうな音の響き。

優しさが詰まったコトコト煮込む料理のことを総称して ragoût (ラグー)という。
たとえば、カスレや、フリカセ、ナヴァラン、ドーブにシヴェ。
イメージできる料理もあるでしょ?
どれもフランスを代表する ragoût(煮込み料理)だ。

そんな数ある ragoût (煮込み料理)の中でもひときわ際立つ特異な煮込みが、ある。
それが、ブランケット。


なにが特異かというと、なんとブランケットは、“白い” 煮込みなんだ。

ragoût à blanc

仔牛肉のミルクの香りや柔らかさを活かすために、香ばしい焼き色を あえて付けない。
焼かずに いきなり煮始めるんだ。異色でしょ?
(通常は、煮込む前に肉の表面をしっかりと焼く。最近じゃ、メイラード反応って言葉も一般的になってきたよね。そしてその結果、ソースにも色がつく。 香ばしい焼き色。ハシバミ色。)


ブランケットは、煮込む前の「焼き」工程がないから、焼いた肉の香ばしい香りや色が付加されず、素材そのままの仕上がりに。キュイジニエの腕が試される料理ともいえる。ごまかしがきかないっていうのかな。すべての工程に、手抜きは禁物なんだ。


まずは血合いを完全に取り除き、ブランシールしてアクをしっかりとる。
そうしたら、スープとミルプワを加えた鍋でやさしく煮ていく。
煮るときにも、温度管理に気を配る。温度が高すぎて対流が起こると濁って白くならないし、最終的にクリアなソースにも仕上がらない。かといって一定の温度を超えると、今度は肉がスカスカになっちゃうから、ほどよい弾力を残しつつ、いい塩梅を目指す。
すべてが白く仕上げるための、リヨン伝承の手法だ。

仕上がりに加える2種のクリームが味の要。
クレームドゥーブル(煮詰めた生クリーム)と、クレームエペス(発酵させて濃度を増したクリーム)。なめらかで濃厚なクリームと、かすかな酸を纏ったコク豊かなクリームが仔牛肉を優しく包み込む。そこへ爽やかに香るアクセント、オレンジとレモンの果皮がソースを軽やかに仕立て上げるんだ。


散らした芽キャベツもいい味を出す。ほんのり感じる甘くほろ苦い春の味。まったりしがちなブランケットのクリームソースから、ときおり大人の表情を引き出す瞬間だ。


付け合わせにはバターライス。芋やパスタを添えるルセットも見かけるけど、バターライスを超える組み合わせは考えられない。まさに完璧な組み合わせ。定番には、安心感を越えた居心地の良さがあるよね。ソースを絡めて至福の時を。(バターライス⇨blog




古典にちゃんと向き合って、エスプリをぎゅぎゅっと詰め込む。
ブランケットは、フランスって美味しい!を体現してるよね。

ボジョレ片手に、ビストロ春の白い煮込みをご賞味あれ!




Bon appétit et large soif !
chef




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Bistro Tableau Noir(←Website)