家でタブロ プレ・ア・ラ・キーウ



「レシピブログ・家でタブロ」シリーズ。

毎日、ニュースから流れるのは、目を覆いたくなるような凄惨な状況。
早期の解決を願い、祈ることしかできないけど、
気持ちを送り、心を寄せるは出来るんじゃないかな。

今日は、ウクライナ発祥のフランス料理を。

Poulet à la Kiev
プレ・ア・ラ・キーウ
Poulet à la Kiev プレ・ア・ラ・キーウ
キーウ風チキン チキンキーウ



パセリとレモンを混ぜ込んだ合わせバターを包んで、パン粉付けをしてカツレツに。
なんとも古風で癒されるフランス料理だけど、
キーウ風 à la Kiev の名前からもわかるように、
フランス発祥ではなくて、ウクライナ発祥。

東ヨーロッパで広く愛されてるこの料理は、フランス料理の影響を受けて、ウクライナで作られるようになって、今では近隣の国でも似た郷土料理が存在するほど大人気に。

で、時がたち、フランスに逆輸入されたってわけ。

カツレツ(côtelette)や、メトゥルドテルバター(berre maître ďhôtel)がそのまま応用されてるでしょ?

メトゥルドテルバター(berre maître ďhôtel)の作り方は、⇒ blog



香ばしく揚がった鶏むね肉にナイフを入れると、中から香り豊かなバターソースが流れ出る。
パン粉付けすることで、むね肉は(⇒鶏の最高部位!)しっとりとジューシーに揚がり、
衣との対比がたまらない。
流れ出てきたバターは、パセリとレモンの爽やかさが合わさって、そのままソースになっちゃう優れもの。
たっぷり絡めて頬張れば、もう、鼻に抜けるうま味が最高!

さっそく作っていくよ!


材料
鶏むね肉 1枚
塩    1%

メトゥルドテルバター

小麦粉
溶き卵
パン粉
揚げ油

グリーンピース

鶏むね肉。
僕は、現地と同じ、手羽元付きの形で。
スーパーだと、手に入らないから、
手羽元の付いてない、むね肉を準備してください。

皮をはぐ。
パン粉の衣をつけて揚げるから、
食感の邪魔になるんだ。
香ばしい衣を、サクって嚙んだら、
すぐ、柔らかな身になったほうがいい。
間に、皮は余計なんだね。

※皮は、付け合わせで使うから、捨てないでね。


ここから、慎重に。
バターを包んで揚げるってことは、
普通に考えたら、熱で、揚げてる間にバター溶けちゃうでしょ。
揚げ油に流れ出ちゃわないように、隙間なく包み込む!

バターを入れる隠しポケットを作るよ。
まず、上から1/3厚さに包丁を入れて左に開く。
切り離さないように。
で、むね肉を回転させて、
1/3厚さの開いたお肉は、いま、右側に来てる。
左手の下は、2/3厚さ。
境目から、厚さの半分くらいを狙って、
切れ目を入れていく。(ここにバターを仕込むよ)
貫通しないように、破かないように。

揚げてる最中に、バターが溶け出てくる隙間は
なるべく小さくしたいから、
包丁を、扇形のように動かして、
入り口は小さく、中は広く。みたいなイメージで。

隠しポケットの完成。

味をしっかりと中まで入れたいから、
この段階で、重さを量って1%の塩。
僕のは、340gだったから、3.4g

このまま、ラップをかけて、室温でキープ。
30分から1時間くらい。
ラップの上から触って、冷たく感じなくなるまで。

中心の温度が、冷たいままだと、生焼け(生揚げ?)になっちゃうからね。
これも前回と同じだね。復習も大事だ。 ⇒ blog


待ってる間に、付け合わせの準備を。
はいだ皮を、細かく刻んで、フッ素加工のフライパンへ。
油はひかない。皮から出てくるからね。

中火で、ちりちり焼けてきたら、

グリーンピース投入。
塩、胡椒少々。

手に入らなかったから、今回は冷凍グリーンピース。
いま、旬で美味しいから、手に入るならフレッシュでやってみて。
さやから剝いて、塩湯で2~3分茹でて、
そのままゆで汁のまま冷ます。ふっくら仕上がるからね。


さぁ、むね肉を見てみよう。
室温に戻って、塩の効果でうっすら汗をかいたようになってるはずだ。
キッチンペーパーでしっかり水分を拭いて、メトゥルドテルバターを包むよ。

隠しポケットに忍ばせる。
塩味はついてるから、あとは胡椒を振って、
いつものフライの要領で、
小麦粉、卵、パン粉をしっかりとつける。

できれば、小麦粉は強力粉。
パン粉は、フードカッターで回して細かくしたものが理想。


盛り付け。
ソースはなし。レモンもなし。

だって、お肉の中に入ってるでしょ?


この料理のポイントは、
・隠しポケットをつくるときに、肉を破かない。
・バターを包んだら、しっかり押さえて空気を抜く。(揚げてるときに膨張して、空気が外に出ちゃう。その通り道を通ってバターも出ちゃう⤵⤵)
・隠しポケットの周りにも、しっかり溶き卵を付ける。(溶き卵が熱で固まり、糊の役割に。)
・揚げ始めの温度が低いと、溶き卵が固まる前に、バターが溶け出ちゃう⤵⤵(でもこれは、どんなフライ物の調理でも同じだよね。いつもと同じ感覚で。リラックス!)


揚げたてを、アッツアツの時に食べようね。
幸せしかない食卓の完成だ⤴⤴


Poulet à la Kiev
プレ アラ キーウ

食べる時にナイフで割ると、中からどどーっと堰を切ったように流れ出るソース。
それまでは、揚がった、香ばしいだけの香りだったのが、
一気に、複合的な香りに包まれる瞬間だ。
パセリとレモンの爽やかさがバターのリッチな香りに混ざり合って、
まさに、給仕長のバターの名に相応しい。





番外編。

 - シェフは簡単そうに作るけど、むね肉丸ごと揚げるのはハードル高くない?
って声が聞こえてきそうなので、こんな提案も。
鶏ささみの筋をはずして、普段通りのささみフライを。
メトゥルドテルバターは、レンジで溶かせば、ほらもういい香り。

バターを包んでないから、
キーウ風 à la Kiev とは言えなくなるけど、味はおんなじだ。
今日の夕飯は決まったぜ!やったね。

この美味しさを知ったら、
次こそは、ア・ラ・キーウ、いつかチャレンジしてみてくださいね。

Petits filets de volaille panés au berre maître ďhôtel
ささみのフライ・メトゥルドテルバターで




毎日、ニュースから流れるのは、目を覆いたくなるような凄惨な状況。
僕たちには祈ることしかできないけど、
気持ちを送り、心を寄せるは出来るんじゃないかな。
一日でも早い解決と、普段の生活が取り戻せる日を。

Après la pluie, le beau temps.        ⇒ blog




 


フランスって美味しい!
 Bistro Tableau Noir