家でタブロ 豚ヒレと蛤の酒蒸し


Salut! Comment ça va? どうも、シェフです。

今年の冬はけっこう厳しい寒さが続いたよね。
おまけにビストロで暖を取れなかったから、なおさら⤵⤵
でも季節は確実に前に進み、一歩一歩、春の足音が。

今日は、
蛤の酒蒸しで、豚のヒレ肉を煮含めちゃう、美味しいに決まってるぅ!、な料理を紹介。
なんたって、豚肉と貝は相性抜群⤴⤴
部位を変えたり、違う貝でだって間違いなく美味しくできるから、チャレンジしてみてね!

春が香る、豚肉料理に~、Allez Cuisine et Bon Appétit !


豚ヒレと蛤の酒蒸し
今日も、特別なフォンは必要なし。
フランス料理♡もっと、ご家庭でも。



【作り方、概要】
①蛤の砂抜き
②豚ヒレに塩0.8%して1時間。室温に戻す。
③豚ヒレに小麦粉をうすくはたき、表面を香ばしく焼く。
④バターで長ネギを炒め、蛤を白ワインで蒸す。
⑤豚ヒレと菜の花を、蛤のスープで優しく火を入れる。
⑥スープを煮詰めて柚子胡椒・バターを加え、ソースとする。



【材料(2~3人前)】
・豚ヒレ肉 250g
  塩(0.8%・2g)、強力粉、サラダ油 
・蛤 8~9個くらい
(今回は浅利大くらいのサイズ。もっと立派なのでもOKだし、アサリでももちろんOKだ)
 
・バター 10g
・長ネギ 6㎝(みじん切り)
・白ワイン 100㏄ 
・菜の花 1束
・柚子胡椒 小さじ1/3
・バター 15g



①蛤の砂抜き

浅利ほどではないけど、当然、砂を噛んでる。
美味しいのに、「ジャリッ」っで一気に気分が冷めちゃうよね。
3%の塩水。
目安、水600㏄に、塩大さじ1杯。

下に網をかませて、(吐いた砂をまた吸わないように)
蛤の頭が少し出るくらいまで。
暗いほうが動きが活発になるので、
新聞紙や、アルミ箔で覆おう!


豚ヒレ。

厚さをそろえてカット。
2㎝。

出来れば、形をそろえるためにタコ糸で縛りたいね。
厚さや形、大きさをそろえるのは、
見た目だけじゃなくて、火の入りを均一にするため。
その小さなひと手間が、美味しさを大きく左右するんだ。

【材料(2~3人前)】
・豚ヒレ肉 250g
・蛤 8~9個くらい(砂抜き完了後、水で洗ってね)
・バター 10g
・長ネギ 6㎝(みじん切り)
・白ワイン 100㏄ 
・菜の花 1束(枝をちぎって水洗い)
・柚子胡椒 小さじ1/3(きっと、冬の鍋用のが残ってるでしょ?)
・バター 15g(ソース仕上げ用)

②豚ヒレに塩0.8%して1時間。室温に戻す。

ある程度の厚さのあるお肉は、あらかじめ塩をしておく。
焼く直前にする塩は、半分くらいは焼いてる最中にフライパンに流れちゃう。
食べて、表面だけうっすら塩味するけど、噛んで味わうと物足りない原因はこれ。
焼肉屋さんのお肉は、濃厚なたれにどっぷり浸けつつ食べるから平気なんだね。


今回、塩はこれだけ。
蛤と、柚子胡椒の塩分と香りで、十分美味しく感じるはずだよ。



ちなみに、
もし、ステーキを焼くために塩をする場合は、
同じく0.8%の塩をして、室温に戻した後、ペーパーでしっかり水分を拭いて、
改めて、軽ーく塩をして焼くか、焼き上がってから軽ーく塩をする。

ポイントは、
塩が肉の内部に浸透していくイメージを想像するところから、
「肉を焼く」は始まる、ってこと。
フライパンに油を敷くところからじゃないんだね。


もう一つ。
何度も書いてる、「お肉を室温(常温)に戻す」

例えば、焼き上がりの中心温度60℃を目指すとき。
室温と同じ 20℃のお肉なら、フライパンなりオーヴンで40℃上昇させるわけだ。
20℃+40℃=60℃

じゃ、冷蔵庫から出したての冷え冷えのお肉は?
中心温度 5℃から焼き始め。
同じ火力、同じ時間で焼いても、5℃+40℃=? まだ45℃。全然なま。
見た目はいい焼き色ついてるんだけど、熱が内部まで全く伝わってない状態。そりゃそうだ。さっきまで冷蔵庫でキンキンに冷えてたんだから。

焼く時間を追加するしかないから、
中心温度が60℃になったころには、表面は焼き過ぎの状態だ。
お肉の中心部分だけが、いい感じで、周辺はぱっさぱさ⤵⤵

お肉の温度を、40℃上昇させるのと、55℃上昇させるのでは、
お肉にかかるストレス量が桁違いなんだ。だから、必ず室温に戻す。

料理は、化学に走りすぎちゃだめだけど、化学を無視するのはもっとダメ。
美味しい料理には、理屈がちゃんとあるってことだね。



脱線したね。
②豚ヒレに0.8%の塩をして、1時間室温に戻す。ってところから。

③豚ヒレに小麦粉をうすくはたき、表面を香ばしく焼く。

塩をして、室温に戻しった豚ヒレは、
うっすら汗をかいたように表面に水分が。
ペーパーでやさしく拭いて、強力粉。
パンパンして、おしろい完了だ。

焼いていくよ。

フライパンにサラダ油 大さじ1
中火で焼いていく。側面もね。

今回は、蛤の汁で軽く煮るから、
この時は、まだ中心は生でいい。
とにかく、表面に美味しそうな焼き色がつくことを目指す。
取り出して、次の工程だ。

焼いた油は焦げてるから、そーっと拭き取る。
でも、フライパンにはうま味も
うっすらこびり付いてるから、そーっと油だけ。

④バターで長ネギを炒め、蛤を白ワインで蒸す。

火は弱火で、バター、長ネギ。

じっくり、汗をかくように炒めて、suer ⇒ スュエ

蛤、白ワイン。
蓋をして、貝が開くのを待つよ。

パカッ!

これ以上加熱すると身が縮んじゃうから貝を取り出して、

この時、味を見てみよう。
いい出汁が出てるよ。
このスープで、煮含めて仕上げる。
調理中は、どんどん、想像力を働かせて!

⑤豚ヒレと菜の花を、蛤のスープで優しく火を入れる。

バットにたまったエキスもフライパンに戻して、
表面だけ焼いた豚ヒレ、菜の花をフライパンに入れて、
蓋をして弱火で2分。

この時、もしスープが干からびそうなら、水を足そう。
蒸発したのは水だから、慌てずに水を足せばOK

ぎりぎり沸騰を保つ弱火で2分。
蓋の中は見えないけど、想像力は働かせて。
表面だけを焼いた豚ヒレの中心部にまでゆっくり火が入りつつ、
蛤スープの味が浸透してる様子を想像(妄想)する。

さぁ、菜の花を取り出すよ。
豚ヒレだけ残して、火を止めて蓋をしてさらに5分キープ。
余熱でやさしく火を入れていく。

火が入ったどうかは、指で押してみる。
優しくもしっかりした弾力がかえってくればOK
不安ならば、半分に切って確かめても。
まだなら、蓋をして
もう一度軽く加熱すればいいんだから、
心配することなしだよ。

⑥スープを煮詰めて柚子胡椒・バターを加え、ソースとする。

豚ヒレ肉を取り出し、
スープをとろっとするまで煮詰めて、
柚子胡椒、バターを加えてソースに仕上げる。
香りを引き立てたいから、完成直前に。

そしてなんと今回は、
調理の初めから完成まで、
胡椒はいっさい使わない。
香りを楽しむなら、とことんこだわって。


豚ヒレと蛤の酒蒸し



しっとりと煮あがった豚ヒレを噛むと、じわっと広がるうま味と心地いい辛味。
菜の花は本来の苦みと調和するように蛤の香りが染み渡り、
ぷっくりした蛤の身はやさしく佇み、春の訪れを讃えているかのよう。

柚子胡椒の爽やかさと、バターのリッチなミルク感、
そこに磯の香りと豚ヒレの柔らかな満足感が詰まった一皿。

ミネラリーな白かロゼで。






フランスって美味しい!
タブロノワールのHP 
→ Bistro Tableau Noir 

ご予約はお電話で。

Tel : 087-813-2014

定休日は火曜日です。