Époisses
Salut! Comment ça va?
どうも、シェフです。
今日のBlogは数週間かけて最高の状態に仕上がったラヴェだ。
丁寧にマールで何度も洗って作られるウォッシュチーズ、エポワス。かの美食家、ブリヤ=サヴァランが他に類を見ない美味しさに感動し、「チーズの王者」と称賛したほど。ナポレオンも愛したと言われるこのエポワスの特徴は、とろとろにとろける幸せと、厚みのある香り。ラヴェ好きにはたまらない極上のフロマージュ。
Époisses de Bourgogne
エポワス
濃いオレンジ色は着色ではなくて、熟成によるもの。
湿り気を帯びた芳しい香りを放つ表皮はマールの香りが健在。見た目のイメージよりももろく、口の中ですっと溶けていく儚さもたまらない。
中身は明るいベージュ色。熟成によってその形状を保てないほどに柔らかくかくなっていく。しっかりした塩味と、かすかに感じる薫香、ピーナッツパターのようなねっとりしたコク。いつまでも王者の風格が漂い続ける納得の味わいだ。
こんなに美味なフロマージュも、時代に翻弄された歴史をもつ。中世の頃に修道院で生産が始まったエポワス。人気が人気を呼び、19世紀末には300以上の生産者がいたほどの盛況ぶり。ところが20世紀初めの世界大戦の激動の中 生産がほぼ途絶え、それから約半世紀は小さな個人の農家で祖母から孫へと細々と作られれていただけなんだ。まさに、絶滅の危機。そんな中、地元伝承のエポワスを再興させようと1956年に農夫ベルトー氏が立ち上がり、フェルミエを設立。念願の「チーズの王者」復活!という感動の物語⤴⤴なのでした。
僕たちが何気に食べてるフロマージュも、生産地があって、生産者があって、苦労を重ねてきた歴史が必ずあって。もちろん牛もいて、その牛は牧草を食べて。そんな当たり前のことを忘れずに、フランスから届いたフロマージュが 日本で食べられることへの 感謝の気持ちを持ってこれからも美味しく味わいたいね。
そう。せっかくなんだから、本気で味わいたいじゃない?
じゃぁ、このエポワスはどう食べる?
決まってる。
もちろん、エポワスがテーブルの運ばれる前に、オ・ド・ヴィ(→Eau-de-vie)を注文。ますます充実のラインナップから、好みの一杯を選ぶ。濃厚な香りと抜ける香り、鼻腔をくすぐりながら、まるで喉を流れるまで香り、幸せがいつまでも続く完璧なマリアージュを奏でるよ。
メイン料理のその後は、ワインをオ・ド・ヴィに替えて第二幕をお楽しみください。
今夜の第二幕の主役は、エポワスで決まりだ!
NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
フランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を
chef
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Bistro Tableau Noir(←ホームページ)