Vacherin glacé

Bonjour!
どうも、シェフです。
 
今日紹介するのは、フランスの歴史を紐解くかのような古典氷菓。
 
メレンゲ、ホイップクリーム、アイスクリームの三位一体
Vacherin glacé ヴァシュラン グラセ)
 
天使のようなくちどけと、その軽さ。
冷たく儚いその幸せは、甘い香りとともに溶けていく。
食べ終わって残る、しっかりとした満足感は
まさに歴史を感じる古典デセールだ。
 
 
Vacherin glacé
ヴァシュラン グラセ
メレンゲ、ホイップクリーム、完璧なアイスクリーム「パルフェ」の三位一体
 
Vacherin glacé

Vacherin glacé (ヴァシュラン・グラセ)

このデセールが生まれたのは、なんと200年も前。
meringue cuite(ムラング)
crème chantilly(クレームシャンティイ)
parfait(パルフェ)
これら三位一体で織りなす、天使の口溶けのデセールだ。


meringue cuite(ムラング)
低温で色を付けずに焼成乾燥させたメレンゲ。
このメレンゲの要は、配合とその厚さ。
土台のパルフェが口の中で溶けていくと同時に、メレンゲもなくなっていくことが美味しさの秘訣。その儚さが、後を引く美味しさを生むんだ。

crème chantilly(クレームシャンティイ)
シャンティイ城が発祥の地と言われている、砂糖とヴァニラを加えたホイップクリームのこと。完璧なアイスクリーム・パルフェと、乾燥ムラングをつなぎ合わせる重要な役どころ。アイスクリームを使ったデセールなのに、冷た過ぎず、食感・口溶け・香りをピュアな気持ちで楽しめるのはこの名脇役 crème chantilly が隠れているからこそなんだ。

parfait(パルフェ)
このデセールに使う土台のアイスクリームは、一般的なアイスクリームとは似て非なるもの。マシンで撹拌しながら凍らせる手法とは違って、あらかじめ空気を含ませたものを凍らせる古典氷菓、parfait(パルフェ)だ。
作り方は、卵黄を湯煎で熱を入れながら泡立てて、空気をいっぱい含んでふわり(パータボンブ)。そこにホイップクリームをやさしく混ぜる。ふんわり仕上がったアパレイユを型に流して凍らせて完成。当時と同じ、マシンの出番はなしだ。(200年前だからね)

なめらかさと、存在感。儚い口溶けと十分な満足感。
かつて作った菓子職人が(もしくは食べた主人が)その美味しさにParfait!(完璧!パーフェクトだ!)ってなったことは想像に難くないよね。

parfaitは日本発祥のあのパフェの語源とも言われてるけど、
違うんだよなぁ。長くなるから、その話はまた次の機会にね。


マシンでちゃちゃっと作ったのも気軽でいいんだけど、ビストロでフランスを堪能した夜のトリを飾るアイスクリームだ。冷凍庫もアイスクリームマシンもない時代に、どうやってたのか想像を巡らせながらスプーンを手に持つ。ん~、最後まで盛り上がっちゃうなぁ~。



Vacherin glacé
ヴァシュラン グラセ
メレンゲ、ホイップクリーム、完璧なアイスクリーム パルフェの三位一体
200年も前だから、アイスクリームを食べることができたのは、
王様や時の権力者だけ。氷や砂糖だってかなりの贅沢品。
食べられることそのものが、力の象徴でもあったんじゃないかな。
ただ凍らせただけだと当然口溶けは悪いし、時折混ぜて作っても
シャリシャリした状態で出来上がる。だから、卵を泡立てて、
クリームを泡立てて、氷に覆われた容器で急冷する。
もちろんホイッパーだってなかったから、
アシやツゲの小枝を茹でて、皮をむいて、束ねて・・。
気の遠くなるような仕事だね。

そんな時代にこんなデセールが、って考えると美味しさ倍増だ!


スプーンで メレンゲをコンコンコンって割って、一緒にすくってロマンと共に口に運ぶ。
「古典って いい意味しかないよね」を実感できるデセール。
ほんとにフランスって、どこまでも美味しいよね。




ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 

chef


フランスって美味しい!
Bistro Tableau Noir