その理由、説明できる?

ちょっと反響があったから前回に続いて。



目指す、完成の形をしっかりイメージして、
そのために、こうやる。だから、このアプローチで。
すべての工程で、理由付けができた仕事を確実に積み重ねていく。

世界が惚れ込むフランス料理の美味しさは、
決して華やかじゃないことの積み重ねで成り立っているんだ。



どんな素材でも、調理法を替えない店ってあるよね。
きっと、得意技なんだろうけど、低温調理だったり、ロティだったり、グリルだったり。
なぜその方法で火入れするのか。
その素材に一番適してる?
それとも理由もなくその調理法なの?

理由の説明できない仕事はプロの仕事とは呼べない。
ただ、出来るからやってるだけ。


例えば、白身魚のポワレ。

皮をパリッと焼くのが主流だよね。
確かに美味しいし、そのふわっとした身とのコントラストは僕自身結構好きだ。
でも、どこで食べても必ずその焼き方。
キュイジニエの主張がなーんにも伝わってこなくて、違和感を感じることもしばしば。
こんなに定番化しちゃうなんて、いったい、だれが流行らせたんだ?
大根おろしと醤油で食べるなら香ばしくて美味しいけど、
フランス料理での味の構成は、そんなに単純じゃないんだ。
だから僕は、必ずしもそれ(皮をパリッと)がベストとは思わない。

魚の種類、季節、旬、状態、
ソース、付け合わせ、コース料理ならばその前後の組み立て、・・・。
すべての要素を考慮して焼き方は決定されるはずなんだ。
その上で、しっとりした身と一緒に
皮のすぐ下のゼラチン質を楽しむイメージなら、
むしろ皮もしっとり焼き上げたい。

そんなことを判断して、下処理、切り出し、味、火入れを的確に積み重ねていく。
それは完成の形をしっかりイメージしてるからこその仕事だ。

なぜそのやり方? なぜそうする?
ちょっとは考えなきゃね。
皮はパリッと焼くって習ったから、
いつでも、どんな時でも、それしかしない、できない。
そんなキュイジニエじゃ、ツマンナイ。




「なぜ?」
って考えることは、ほんとに大切なこと。
もう、すっごく大事。


毎日の仕事の中で、当たり前にやってることも
改めて見つめ直してみようかな。

すべてのことに、必ず理由がある。
僕は、そう信じて疑わない。



そうか。これは、僕自身へのメッセージだ。



ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 


chef

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