Foie gras en bocal

Bonjour!
どうも、シェフです。

今日は、熱烈なファンの多い、フォワグラの話。

みんなもよく知ってる、太らせて肥大させた肝臓だよね。
そんな言い方じゃ、ミもフタもないけれど、
今日は、身も蓋もある話だから付き合って。

ガチョウのフォワグラも美味しいんだけど ( foie gras ďoie )
僕は鴨のそれの口溶けと香りが好きで、
使うのは鴨のフォワグラ ( foie gras de canard ) に決めている。


言葉ではどうにも表現できない、じっくりととろける、あの香りの広がり。
なんとも言えない幸福感と、贅沢感。
口の中はすぐにでもワインを欲しがるんだけど、
洗い流したくもない、ため息の溢れる美味しい時間。

一緒に味わうのは、もちろん定番の組み合わせ。
リッチなブリヨーシュは、あえて粗野に網で焼き目を付けて。
プルーンはカソナードで甘く炊いて。

フォワグラをざっくりと大胆に食べられるシアワセ・・・。


書いてたら、想像して唾がでてきちゃったよ。



Foie gras en bocal à ľancienne
et brioche avec pruneaux au cassonade

( フワグラ アンボカール ア ランシエンヌ  エ ブリヨーシュ アヴェク プリュノ オ カソナード)
 
 



フタつきの広口瓶(ボカール)bocal で作るから
フォワグラ アンボカール。
昔ながらの伝統的な作り方。

作り方はテリーヌとほぼ同じ。

作業しやすくするために、
少し常温に戻してやわらかくなったフォワグラを3つの房に分けて、
なるべく形を壊さないように、切り開き、太い血管や筋、薄皮を取り除く。
とろとろしてると、指先の体温でどんどん溶けていくから丁寧さとスピードが必要だ。

僕は、
質、鮮度、状態がよければ、牛乳に浸けたりして臭みをとる必要はないんじゃないかなって思ってる。フォワグラ本来の香りまで弱くなるのは僕の好みじゃないんだ。

少し冷蔵庫でしめてから、全体の重さをはかり、一晩マリネする。
 ( sel, cassonade, poivre blanc, armagnac, porto rouge )

テリーヌだと、
型に詰めて、湯煎にかけてオーヴン。もしくは芯温計を刺してスチコンかな。
それで加熱後は出てきた黄色い脂を一度出して
型の中でフォワグラを冷やしながらプレス。
その後、漉した油を表面に流し込む作り方が一般的だ。
丁寧なようで、実はその工程の中で香りの大半が失われてるんだよね。


ここからはアンボカールならではの作り方。

翌日、煮沸消毒済み(ジャム作るときもやるよね。)の
広口瓶(ボカール)に詰めて、パッキンをちゃんと確認して蓋をする。
ここで蓋をしたら、もう、食べる時まで開くことはないからね。

ジャムの瓶の滅菌と一緒。お湯の中に沈めちゃうんだ。
蓋をちゃんとしてあるから心配しないで。で、静かに加熱する。


写真みたいに、
鍋にタオルを敷いて、ぬるめのお湯の中に静かに広口瓶(ボカール)を沈めていく。
お風呂じゃないから、肩までじゃなくて、頭まですっぽりかぶれる鍋で。

加熱温度は、沸騰しない程度。もっと言えば、
お湯の表面も揺れないくらいのゆるやかな温度で静かに加熱する。
フォワグラの脂が溶けて分離しない、でもちゃんと加熱される温度を保つ。
ちょっとむつかしいね。

加熱が終わったら、
鍋ごと、お湯(水の)なかに沈めたままで冷ましていく。
急激に冷やすと割れるかもしれないから、水を垂らしながら、お湯の温度をさげていく感じで。

こうやって作るから、
しっかり冷めたら広口瓶(ボカール)の中は真空だ。
味も香りも逃さない。
蓋を開けて、口の中でゆっくり溶かすように味わったとき
すべての香りがあふれだすんだ。

フランスって、ほんと美味しいよね。って思う瞬間。

昔ながらのアンボカールは、なめらかで力強く、鮮烈な味が特徴なんだ。
フランスの片田舎で食べてるような、そんなイメージかな。
僕が好きなのは断然こっち。



現代の主流の、繊細すぎるテリーヌは、ビストロの夜に似合わないでしょ。

食べたくなってきた?

みんなが食べる直前に、はじめてフタを開けるよ!


そうそう。
発音通りにカタカナ表記できないのはわかるんだけど
あまりに違うのはきもちいいものじゃないよね。

フォグラ じゃなくて、
 foie gras  
フォグラ  だ。




ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 


「本物のビストロ」の証 “Bistrots Beaujolais” に認定されました。
 ・LE GUIDE DES BISTROTS BEAUJOLAIS  (map)
 ・公式ガイドブック (PDF)

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