家でタブロ パン・デピス

Bonjour!

昨日に続き、レシピブログです。

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今回は、ブルゴーニュ名物、pain ďépice(パン・デピス)に挑戦だ!

pain ďépice(パン・デピス)


épice(エピス)はスパイスのこと。
直訳すると、スパイスのパン。

でも、パンというよりは、ケーキやクッキーに近いかな。
起源は諸説あるみたいだけど、中国の蜂蜜乾パンが中東に伝えられ、そして十字軍の遠征によって、ヨーロッパに伝わったんだ。
いまから、1000年も前の話。
東欧を中心に、フランドルやアルザスでも食べられていたpain ďépice(パン・デピス)。
じゃ、なぜ、ブルゴーニュ名物?

14世紀、ブルゴーニュ公国は現ワイン産地ブルゴーニュを南端として、ドイツ、ベルギー、オランダにまで領地を拡大し、一大勢力を築き上げたんだ。フランス北端のフランドル地方のパンデピスが、ブルゴーニュでも食べられるようになった理由はここだ。
歴史はすべてを物語る。モエる~!
保存食、エネルギー源として、その後の100年戦争で兵士が食べてたんだろうなって想像し始めると、もう、話が止まらなくなっちゃうから、進めるね。


でも正直に告白すると、実際のところ、よく雑誌やテレビで紹介されてるほど、美味しくはないなぁ~。って思ってた。少しパサついた、「ん~、こんな感じなんだ。」って。

イメージが変わったのは、15年くらい前。
ディジョンで偶然立ち寄ったパティスリで、陳列されたお菓子たちが思いのほか美味しそうだったので時間をかけてじっくり選んでるときのこと、

 - 味見するかい?

って差し出された細切れのケーキ。
見た目は派手じゃなく、茶色で、武骨で、なんだろう?って思いつつパクリ。
しっとりとして、濃厚で、重厚で、鼻に抜けるスパイスの香りが心地いい。うまい!
ちょっと興奮気味に、

 - Qu'est-ce que c'est ?

ちょー満面の笑みで、「デジョン名物、パン・デピスさ!」って。

それは、いままで僕が経験したことのある味(ちょっとパサついた、ん~、こんな感じ?)じゃなくて、カトルカール(パウンドケーキ)に近い、しっとり濃厚なパン・デピス。
こんな仕立てもありなんだ。って衝撃だった。
そりゃそうだ。1000年も前の、貧しかった時代の保存食を、そのまま作り続けることも、伝統としては素晴らしい。でも時代とともに、必要に応じて変わっていく。
それが、現代版、パン・デピス。

パウンドケーキはみんな作ったことあるでしょ?
ちっとも難しくないから、ぜひチャレンジしてみて!

薄く切って、おやつに食べると、自然と口に出てくるよ。
 - C'est bon! (セ・ボン!



 材料(パウンドケーキ型ひとつ分)
無塩バター   200g
グラニュー糖  160g
蜂蜜                   30g
全卵                  200g
薄力粉               200g
キャトルエピス※   12g
シナモン(粉)       6g

※キャトルエピス【quatre-épices】 
クローヴ・生姜・ナツメグ・胡椒のミックススパイス 
日本のスーパーでは、クォーターエピスの名前で売ってるはずだよ。
それに、シナモンを加えて、
だから今回は、シナモン多めの5種類スパイスってことだね。


①型の準備。オーヴンの余熱(160℃)
②バターを白っぽくなるまで混ぜる。
③砂糖を3回に分けて加える。
④卵を少しずつ加える。分離しないように。
⑤ゴムベラに持ち替えて、粉を混ぜる。
⑥型に流し、オーヴンへ!50分。


①型の内側に、バターを塗り、粉をまぶしておく。(分量外)
オーブンシートを敷いてもいいからね。

一般的な家庭用のパウンドケーキ型ひとつで、ちょうどいいはずだ。

Quatre-quarts(カトルカール)は、
同量のバター、砂糖、卵、粉で作ることからの名前だ。
でも、これじゃー、なにが同量なんだか、さっぱり。

粉を合わせて、ふるうよ。
(→きほんのき

薄力粉、キャトルエピス、シナモンをふるった状態。
空気を含んで、ふわっと混ざってるね。

だいぶ、Quatre-quarts(カトルカール)っぽくなってきた。
砂糖の一部を蜂蜜に置き換えてるから、
これで、
同量の バター、砂糖、卵、粉が揃ったね。
無塩バター   200g
グラニュー糖  160g
蜂蜜                   30g
全卵                  200g
薄力粉               200g
キャトルエピス     12g
シナモン(粉)       6g

みんなは、写真みたいな電動のハンドミキサー使ってね。

僕は、いつもの流れで、卓上のおっきなミキサーで
分量も多めで作っちゃいます。

②常温に戻したバターを混ぜる。
白っぽくなるまで。
空気を含ませるイメージだね。

③グラニュー糖を3回くらいに分けて、
加えては混ぜるの繰り返し。
擦り合わせるイメージで。
蜂蜜も加えて混ぜる。

④ここがポイント!
失敗するとしたら、ここなんだろうね。
バターに、卵を加えるってことは、
油に水を混ぜ込んでるんだから、慎重にやらないと分離しちゃう。
でも、大丈夫。慌てないで、
ほんの少し加えて、しっかり混ぜる。
ほんの少し加えて、しっかり混ぜる。
この繰り返しだ。

⑤粉が混ざった後の写真だけど、
卵が全部混ざったら、ゴムベラに持ち替えて、
ふるった粉を少しずつ加えてはふわっと混ぜていく。

ボールは左手で半時計回しに、
ゴムベラは、右手で、時計回りな気持ちで、
中心から手前にすくい上げるイメージ。
え?? 意味わかんない?
まぁ、混ざれば大丈夫✌
スポンジケーキほどこだわらなくてOKだ

⑥型に流して、

軽く、タオルの上でトントンする。
底の端まで行くように。
軽くでいいからね。

表面は、ならさなくても大丈夫。
バター生地だから、
オーヴンに入れると熱で自然とならされるよ。

問題は、オーヴンの温度と焼き時間だ。
個性があるから、一律で言えないんだけど、
家庭用だと、160℃設定で、50分目安でいいんじゃないかな。
焼き上がりは、表面の焼き色と、
割り箸を中まで突っこんで、抜いて、
生地が付いてこないかで見極めよう。

いい香り。

型と分量が違うから、
みんなの焼きあがりは、もうちょい高さ低めになるはず。
失敗じゃないからね。

僕のは、大き目サイズに焼いたから、
業務用のガスオーヴンで
150℃で1時間20分焼いたよ。
参考までに。



Pain ďépice
(パン・デピス)
焼きたてもいいけど、冷めたら、
ラップして一晩冷蔵庫で冷やしたほうが、
しっとりして美味しい。
ん~、セ・トレ・ボン!





ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。