家でタブロ カルボナード(牛肉のビール煮)

Bonjour!

好評のレシピブログ、久々の更新です。

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僕たちが、「美味しい」って感じる味。
それはもう、生きるためのエネルギーになる「糖と脂肪」に決まってる。
美味しいから食べる。味覚の妙だよね。
いや、例のペットボトルのお茶の話じゃなくて、

甘酸っぱい、甘じょっぱい、甘辛い。
程度にもよるけど、どれも美味しさを生む、甘さとの組み合わせ。
つばが出てきた?こんな話は、お腹すいてくるよね。

今日紹介するのは、甘苦い味。

苦みは、本来「毒」を摂取しないために発達した自己防衛の味覚。
大人になるにつれ、毒ではないものが判断できるようになって、
ビールやワイン、コーヒー、抹茶、秋刀魚の肝、山菜なんかの、子供のころは好きになれなかった苦みが美味しさに変ってくる。
「大人の味」と表現されるのもそのためかな。

そんな大人の味、甘苦くて、美味しい、フランス料理に挑戦だ!


Carbonade
(カルボナード)
フランドルの牛肉のビール煮

フランス最北部、フランドル地方の名物料理。
牛肉のビール煮。
英語のフランダース(の犬)のほうが聞きなれてるかな。
フランドル地方。
ベルギーと国境を挟んだ北海に面したあたり。イメージ沸いてきた?

ブドウ栽培の北限を超えてることも理由のひとつだけど、
主な飲み物は、ワインじゃなくて、ビール。
料理にだって地元のビールをふんだんに使うところも、隣国の影響を強く受けている証だね。

牛肉のビール煮。
一般的にどんなレシピが紹介されてるか、調べてみたら、結構コピペが多い。
もう全く、元のレシピがどれだかわかんないくらい。
ネットに溢れてるレシピ通りに作っても美味しくできない理由はこれだろうね。
フォンドヴォーやブイヨンを使うレシピも多くて、そりゃ、使えば簡単に美味しくできる。けど、家庭で再現するの無理だろ?ってのばかり。固形の「もと」は使いたくないしね。

ビール煮なんだから、ビールで煮ないと。
現地での位置づけだって、鍋ひとつで作る素朴な料理なんだから、シンプルに美味しく作りたい。
ちょっぴりハードルの高い、
フランス料理の出汁(フォンドヴォーやフォンドヴォライユ、ブイヨン)は使わずに、家庭で作れるとっておきのレシピを公開!

鍋ひとつで作る。
ビールだけで煮る。
甘苦い美味しさを目指して!
ポイントはしっかり焼き色を付けること。行くよ!

Allez Cuisine et Bon Appétit !



Carbonade(カルボナード)
(4~5人分)

牛肉(煮込み用) 900g (肩、ばら、もも、などなど)
 塩・白胡椒・小麦粉(できれば強力粉)
玉ねぎ(薄切り) 900g(牛肉と同量)(→きほんのき
無塩バター           60g

ベーコン(5㎜棒)100g
 カソナード(三温糖でok)大さじ3
 赤ワインヴィネガー 大さじ3

ビール 2本(660~700ml)

パン・デピス 5㎜厚 7~8枚(pain ďépice ジンジャーブレッドって呼ばれてるスパイスのパンのこと)
マスタード 大さじ2

 じゃが芋(付け合わせに)
 黒胡椒(仕上げにガリガリ)

概要
①牛肉に塩胡椒、小麦粉を薄くまぶし、バターで表面を焼く。取り出す。
②玉葱をしっかり炒める。あめ色まで。
③ベーコンを炒める。香ばしく。
④カソナードを振り入れ、カラメリゼ → 赤ワインヴィネガーを入れ、酸を飛ばす。
⑤ ④へ牛肉を戻し、ビールを加え、やさしく煮る。(2時間)
⑥パン・デピスにマスタードを塗り、蓋をするように重ねてさらに1時間煮て、完成!

出汁を加えずに、ビールだけで煮るってことは、
普通に考えると、旨味が足りないんじゃない?ってなる。
それを補うのが、メイラード反応。
簡単に言うと、香ばしく美味しそうな焼き色をちゃんと付けて、美味しく作っちゃうぞ!ってこと。


材料(4~5人分)
牛肉(煮込み用) 900g
 塩・白胡椒・小麦粉(できれば強力粉)
玉ねぎ(薄切り) 900g(牛肉と同量)
無塩バター          60g

ベーコン(5㎜棒カット)100g
 カソナード(三温糖)大さじ3
 赤ワインヴィネガー 大さじ3

ビール 2本(660~700ml)

パン・デピス 5㎜厚 7~8枚
マスタード(できればディジョンマスタード)大さじ2


①両面に塩・胡椒
(塩は、肉の0.6%)約5g
下味。


小麦粉を薄く、でも満遍なくまぶす。
肉同士を はたく様にして余分な粉は落としてね。

鍋割が大事。どの鍋を選ぶか。
このあと、この鍋で煮込んでいくから、
肉を並べて、隙間なくぴったりくらいが望ましい。
焼くとちょっと縮むので、そこも見込んで。

バター半量(約30g)を熱し、
牛肉を焼いていく。
表面だけを香ばしく焼きたいから、高温で焼きたい。

バターを熱すると、
1溶けて、2大きな泡が立って、3泡が小さくなって、4静かになって、5色づいてくる。
5の手前、4の温度がベストだ。


両面に美味しそうな焼き色が付いたら、
取り出しておく。
(焼いたのは表面だけだから、まだ中は生だよ)

②続いて、残りのバター30gを溶かして、玉ねぎ。

繊維に沿って薄切りにした玉葱900gに、
塩 3g
水分を引き出すための塩だ。

玉葱のソテの仕方、覚えてるかな?
鍋肌に、うっすら焦げがついてきたら、
あわてず、火を消して、
玉葱で蓋をする。
そのまま少し待って(蒸らすイメージで)、
こそげ落とす。

つるりときれいに。
この繰り返し。
また、炒め始めて、鍋肌に色がついてきたら、
火を消し、蓋をして、蒸らして、こそげ落とす。

色がついてきたら、火を消し、
蓋をして、蒸らして、こそげ落とす。

だんだんと玉葱の色が濃くなってきたね。

で、いつまで炒めるの?

牛肉の焼き色と同じくらいまで。

③玉葱を端に寄せて、弱火でベーコンを炒めるよ。
じっくり、香ばしく。
いい香りが立ってきたね。

④カソナード(三温糖)を振り入れ、
玉ねぎと混ぜ合わせ、弱火で炒める。
砂糖がカラメリゼされてきたら、(溶けて、うっすら色づいてくる)
赤ワインヴィネガーを加える。
分量が少ないので、すぐに沸いて、酸は飛ぶよ。
いったん 火を止めて、いよいよ煮込み開始だ。

牛肉を戻して、ビールを注ぐ。
飲みたい気持ちをぐっとこらえて。

本来は、褐色のビールを使うんだけど、
僕としては、普段飲んでる、
いつも冷蔵庫に入ってるビールで作るのが、
この料理の醍醐味だって思ってる。
わざわざそのために買ってくるんじゃないところがらしいでしょ?

だから僕は、アイネケンで。

2本で、ちょうどかぶるくらいなはずだけど、
足りなければ、水を足して補ってね。
沸かせて、初めに出てくるアクはきちんととる。

そしたら、沸騰するかしないかの極弱火に。
紙蓋をして、じっくり2時間。



本来は、つくる分量がもっと多いから、この段階で、パン・デピスを載せて、一緒に煮込むんだけど。水分がなくなって焦げちゃう心配があるから、今回は2時間煮た後に加えるやり方を紹介するね。

ヨーロッパでは、スープやソースのつなぎ(とろみ付け)にパンを使うことが多いんだ。
いかにも素朴な田舎料理らしさがあふれてるよね。
この一緒に煮込むパン・デピス(スパイスのパン)が、カルボナードの甘苦い味を完成させる大事な要素。
だけど、パン・デピスがなければ、バゲットを薄切りにしてやってもOK。
じゅうぶん、美味しく仕上がるはずだ。

薄く切ったパン・デピスにマスタードをたっぷりと。


マスタードを溶かすために、塗った面を下にして載せたら、
さらに30分から1時間。

パンが十分に自然にふやけて、一体化するくらいまで時間をかけたい。
と同時に、マスタードにも十分に熱を加えたい。
生のマスタードと加熱されたマスタードはまったく別物だからね。
酸と辛味の角が取れ、まろやかな調味料に変わるんだ。

でも、水分がなくなって鍋底が焦げちゃうのも怖い。
で、はっきりしない時間設定なの。(30分~1時間)



ふっくらと仕上がった、Carbonade(カルボナード)
甘く、香ばしく、スパイスの香りが鼻をくすぐる。
ビールだけで煮込んだなんて、信じられな~い!

これで、完成だ。
ほぼ、足りてるはずだけど、味を見て、塩コショウで整えてね。


さぁ、ちゃんとビールは冷えてるかな?
え?
料理に全部使っちゃった?まさかねぇ~。

Carbonade(カルボナード)
フランドルの牛肉のビール煮

ゆでたじゃが芋をたっぷり添えて、黒胡椒をガリガリと。
甘苦く美味しいって、こういうことか!と、止まらないうまさ。


料理に使った、普段飲んでるビールが、グラスの中でさらにうまく感じるのは気のせいじゃないはずだ。
地方が変われど、ワインで煮るか、ビールで煮るかの違いだけ。
身近にあるもので美味しく工夫して食べる。大切なことだなって実感させられる。
本当に、理に適った大人の美味しさだね。

せっかくここまできたら、pain ďépice も作りたい?

うわーやる気だねぇ。
よし!任せて。




ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 

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