Petit salé pané aux fines herbes
「リヨンは美食の都だ。」
“ Lyon est la capitale mondiale de la gastronomie.”
この有名すぎるセリフを言ったのは、
20世紀初頭のフランス一の美食家、Curnonsky(キュルノンスキ)(←)。
彼を虜にした美食の都は、
シャルキュトリ(食肉の加工品)の技術が秀でてることでも、有名だ。
そんなシャルキュトリの
原点とも言えるこの料理。
香ばしさ、やわらかさ、しっとり、じゅわっ。ねっとりとして、しゃっきり。
多様な食感と香り、とろけていくうまみと味わい。
じっくり味わってほしいな。
Petit salé pané aux fines herbes,
sauce à la lyonnaise
(プティサレ パネ オフィヌゼルブ ソース アラ リヨネーズ)
プティサレのオーヴン焼き ソースリヨネーズ
Petit salé pané aux fines herbes, sauce à la lyonnaise
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プティサレ?
あまり聞きなれないかな?
ちゃんと説明しなきゃね。
Petit salé (プティ・サレ)
“少し塩をした” の意。
saumure(塩を溶かした漬け込み液)に漬けた豚肉全般を指す語だ。
どの部位でもできるんだけど、バラ肉を使った petit salé が一般的。
冷蔵庫のない時代、人々は塩漬けという知恵で豚肉を保存・加工したんだ。
生きるための知恵だね。
でもこの知恵は、保存性を高めるだけじゃない。
塩漬けにすることで水分が抜け、肉のうまみが凝縮される。
そして冷暗所で熟成させることでさらに美味しくなるってなわけだ。
(これを燻製するとベーコンだね。)
フライパンで焼くだけでもおいしいんだけど、ここから、さらに手をかける。
スープでやさしく火を入れて、香草パン粉をのせてオーヴン焼きだ!
なめらかなマッシュポテトと一緒に豚肉の濃いうまみを味わってみてほしい。
そして、ソースもリヨンの伝統。
sauce lyonnaise (ソース・リヨネーズ)。
たっぷりの炒め溶かした玉葱に、
ヴィネガーを加えてガストリックのイメージで水分を完全に飛ばす。
そして、白ワインを加えて煮詰めてカラメリゼ、を何度も繰り返すんだ。
そうすることで香りはもちろん、味にコクとキレを与えていく。
そこへ、豚肉の筋とキュイッソン、フォンドヴォを加えて、
やさしく煮込み、シノワで漉す。
これが、美食の都の名前を冠した sauce lyonnaise (ソース・リヨネーズ)だ。
ビストロでしか体験できない、こんな幸せ。
香ばしさ、やわらかさ、しっとり、じゅわっ。ねっとりとして、しゃっきり。
多様な食感と香り、とろけていくうまみと味わい。
あぁ。
ボジョレワインと一緒に、
こんな風にフランスの夜は美味しく更けていくんだね。
フランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
受け継がれてきた本物の味を。
chef
「本物のビストロ」の証 “Bistrots Beaujolais” に認定されました。
・公式ガイドブック(PDF) (←最新版です。)