ratatouille

フランス料理の名前と料理が一致しないことはよくあるよね。
 
 -聞いたことあるけど、どんなのだっけ?
 
そんなセリフを聞くと、
僕たちキュイジニエと、
日本中のフランス料理店がもっともっと頑張らないとなって思わされる時でもある。
 
今日は、
市民権を得ている、数少ないフランス料理のひとつ。の話だ。
 
ratatouille
ラタトゥイユ
 
日本風に言えば、夏野菜の煮物。
玉葱、パプリカ、ズッキーニ、茄子、トマト、にんにく、オリーヴオイル。
セロリやフヌイユを入れることもあるかな。
ルールではないけど、野菜を味わうんだから、僕はハーブは加えない。
 

オリーヴオイルににんにくの香りを移したら
玉葱からゆっくりと炒めていく。

かすかに、「シャー」って音がするイメージで。
 「ジャー!」じゃないってこと。わかるよね?

野菜が汗をかくように炒めるって表現があるんだけど、
まさにそんな感じだね。水分を引き出すように炒めるんだ。

適宜、薄めに塩をしながら、
パプリカ、ズッキーニ、トマトと順に加えては、炒めていく。
玉葱のときにも塩、パプリカを加えたらパプリカに対しての塩、って具合にね。

ポイントは、加えた野菜がちゃんと美味しくなってから次に進むこと。
最後にまとめて煮るからって、途中で手抜きは厳禁。
「美味しい」を積み重ねてこそ、美味しいラタトゥイユが出来るんだ。

すこし香ばしさというか、燻したようなフュメが欲しいから
パプリカの半分量は直火で皮を真っ黒く焼いて剥いて使ってる。
これは好みでいいと思う。

水や白ワインは加えない。
野菜自身から出てくる水分で、野菜を煮る。

いいかな。水やワインはいっさい加えない。
それが、ratatouille ラタトゥイユ。

でも、煮る?
ちょっと違うな。蒸す?蒸し煮?
フランス料理の作り方を日本語にするのはやっぱり難しいね。

炒め蒸し煮、みたいな状況で、加熱するってことだ。


火加減もポイント。
強すぎず、弱すぎず、野菜の水分をコントロール出来るかがカギ。
凝縮された野菜の水分(うまみ)を
絡めながら含ませながら、野菜にしっかりと戻してあげる。
そしたら、太陽いっぱい浴びた夏野菜は、驚くほど美味しく仕上がるよ。


ね。
だから最後に水分は残らない。

そして冷蔵庫で一晩休ませる。
味が馴染んで、まろみも出て、完成した ratatouille ラタトゥイユ は、
冷たくても温めても最高だ。



そうそう、
「 ラタトゥイユ=夏野菜のトマト煮 」 って見たことあるでしょ?

違うよね。
ratatouille ラタトゥイユ を知らない人が名付けたんじゃないかな。
だって、もうわかるよね。
トマトで煮るわけじゃないんだから。


プロヴァンスの夏の常備菜は
市民権を得ている、数少ないフランス料理のひとつ。
でもせっかくなら、正しく知ってほしい、のは僕のわがままかな?
 


ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 


「本物のビストロ」の証 “Bistrots Beaujolais” に認定されました。
2017公式ガイドブック GUIDE DES BISTROTS BEAUJOLAIS

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