Cervelle de canut

Salut! Tu vas bien?
どうも、シェフです。

今日は、リヨンっ子が大好きな料理を紹介。
というより、これがないビストロを探すほうが難しいくらい。
必ず、どの店にもある、リヨンになくてはならない料理。それが、


「絹織物職人の脳みそ」
( カニュ の セルヴェル )  と名付けられた名物料理だ。


 - の、脳みそ⁉


内臓料理がウリのビストロで、
いかにも内臓料理の頂点みたいなネーミング。

でも、内臓系ではないんだな、これは。
強烈なその名の由来、知りたくなったでしょ☆


Cervelle de canut ,
pamplemousse en marmelade
( セルヴェル ド カニュ、パンプルムース アン マルムラード )
セルヴェル・ド・カニュ
fromage blanc,
aneth, persil, estragon, échalote, ail rôti, vinaigre de cidre, huile de noix,
pamplemousse en marmelade

Cervelle de canut
絹織物職人の脳みそ

その正体は、ハーブを混ぜたフロマージュブラン。
フレッシュなチーズを使った料理なんだ。

フロマージュブランは、知ってる?

フランスに旅行したことがある人なら、ホテルの朝食に必ず出てくるでしょ。
ヨーグルトかな?って思って食べると、なんか違う。
そんなに酸味はなくて、コクと爽やかな香りが。
あ、これがフロマージュブランか。って思ったことも懐かしい思い出。

fromage blanc
(フロマージュ ブラン)

白いチーズって名前の通り、ヨーグルトみたいな色、形で、
朝食にはもちろん、メイン料理のあとのチーズとしても登場する。
最近は、これを使ったお菓子も人気だよね。

で、この料理(セルヴェル・ド・カニュ)は、
水切りしたフロマージュブランに、
ハーブ、ヴィネガー、オイルを混ぜ込んだものなんだけど、
もうね、この爽やかな酸と、香り、後に残る余韻がなんとも幸せのおつまみなんだ。

グレープフルーツのジャムを時折混ぜながら、笑顔をいっぱいこぼしてほしい。

一晩、冷蔵庫で水切りしたフロマージュブラン。

ハーブや調味料に決まりはないんだけど、
僕の作る、セルヴェル・ド・カニュは

ディル、パセリ、エストラゴン、エシャロット、
ニンニクのピュレ(皮付きをローストして裏漉ししたもの)、
シードルヴィネガー、クルミオイル
を混ぜて、爽やかに味をまとめるんだ。




ちょっと歴史の勉強も。


Lyon(リヨン)は水運に恵まれ、古代ローマ時代から繁栄してた、でしょ?
宮廷も置かれて、市場も開かれて
なんと、フランス一の大都市になったんだ。

リヨンの発展の要因は、なんといっても 絹織物。
それを支えたのがいうまでもなく 絹織物職人 canut (カニュ)たち。

その当時、上流階級のグルマンたちの垂涎の的は、
高価で美味とされていた 羊の脳みそ cervelle (セルヴェル)。

もちろん、厳しい労働条件で働いていた絹織物職人たちには
手が届くはずはなく、指をくわえてみてるだけだった。

それからのちに、ほんの少し裕福になった職人たちが、
身近な食材(フロマージュブラン)で、羊の脳みそに似せて作った料理を食べ始めたんだ。

だって、値段が高いから食べられないって言うのは彼らのプライドが許さない。
それに、なんか しゃく じゃない。
負け惜しみじゃないんだけど、見栄を張って、
こっちのほうがうまいっていう気持ち伝わってくるネーミングが、たまらなく好き。


 俺たち、高価で貴重な羊の脳みそ無理だけど、
 俺たちの(偽)脳みそも負けず劣らず、うまいぜ!


こんな感じ?
可愛いでしょ。
だから、「絹織物職人の脳みそ」ってネーミングなんだ。


Cervelle de canut
( セルヴェル ド カニュ )
セルヴェル・ド・カニュ



リヨンな香りがこれ以上ないくらいぷんぷんしてくるこの料理(おつまみ)。
ビストロの夜は、どこまでも楽しくて美味しいよね。

アントレとしてでも、デセールの前のフロマージュの替わりとしてでも、大歓迎!

料理の背景を知れば、フランス料理はもっと美味しくなる。
絹織物職人(canut カニュ)たちに思いを馳せながら、
見栄と工夫がしみ出てるセルヴェルを食べて、今夜も素敵な時間を過ごしちゃおう!




NOSTALGIE × AUTHENTICITÉ
ランスよりもフランスらしく 受け継がれてきた本物の味を 
chef

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