テーブル会計。

お財布を手にカウンターへやってきて、

 -お会計。

って言う人多いんだ。


ごめんね。
実はこれって、ちょっと困っちゃう。
わざわざカウンターまで歩いて来てくれて、恐縮しちゃうんだけど、
当店では、テーブル会計をお願いしている。

伝票を受け取るのも、お支払いも、お釣り、領収書もぜーんぶテーブルでだ。




それはふたつ理由があって。

ひとつは、カウンターで、

 -お会計。

ってなると、僕たちを独占することになるでしょ。
レストランの仕事は、みんなが思ってる以上にスピード勝負。
ほんの数秒、ってのがすべての段取りを壊しちゃうことだってある。

出来立ての料理を運ぶ、料理が出たのにワインが空になりそうだとか、
あのテーブルにおしぼり持っていかなきゃ。
電話もリンリン鳴ってるし。アイスだって溶けちゃいそう。
これらすべてをストップさせて、掛かりきりで大急ぎで計算してお支払い。


店内で食事をしているすべての人が心地よく過ごすためには、
ちょっと無理が生じてきちゃう。




もうひとつは、
レストランをもっと楽しく過ごせるアイテムを蔑ろにし過ぎじゃない?ってことなんだ。
そのアイテムは、もちろん 伝票。

自分たちが過ごした時間の記録を眺めながら、

今夜のナンバーワンはどれだの、
アントレのこの料理でワインが進み過ぎたね、
フランス語でこう書くんだ、とか
次回はなに食べようか、これは次回も頼みたい。

楽しい会話が膨らむはずなのに、
お支払いを さっさと済ませなきゃ みたいな流れは
ちょっと興醒めだよね。

今の いままで、
ゆっくりとフランスの夜を味わってたんだから、
急に帰り支度をバタバタと始めないで、落ち着いて。ゆっくりと。

ただ、お腹をいっぱいにして帰るだけじゃ、寂しいじゃない。
食事の時間はもっと、こころまで豊かにしてくれるはずでしょ。


だから、会計はゆっくりとテーブルでお願いしているんだ。



会計といえば、気になってることがもうひとつ。
指で ×印 つくるあの仕草。
美味しかった時間の締めくくりに バツ ってなんだか相応しくないじゃない。

やっぱり、フランスを満喫したんだから 最後までとことんフランスでいこうよ。
空中で文字を書く(サインする)仕草で。
もっと丁寧にしてくれるなら、
両手を少し持ち上げて、左手を伝票に見立てて、右手で(ペンは持ってないけど、)エア・サイン。をしながら、

 - お会計をお願いします。
って。

フランス語でももちろんOK。
 - L'addition, s'il vous plaît. (ラディシオン スィルブプレ)


バタバタ慌てて帰ってもつまんない。
せっかくのフランスの夜。
僕は、みんなに どこまでも格好良く、楽しんでほしいんだ。

格好つけるって、僕はすごい好き。
支払いが終わるまでの間、入り口あたりでみんなでたむろしててもしょーがないでしょ。


ゆっくり過ごして、テーブルでぜ~んぶ終わってから
それから、落ち着いて帰り支度、で 問題ないはず。でしょ?
( かっこいい~!)







ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 

chef

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