メニューを見れば


知らない土地でふらっと入ったビストロやカフェで食事をする。
鼻が利くのか、不思議と失敗したことがない。

店構えや店員の振る舞い、食事をしてるお客様の表情もきっと見てるんだろうけど、
一番注目するのは、メニューを書いてる黒板だ。

その日の料理の内容もそうなんだけど、
なんとなく、「あ、美味しそう」って。わかるでしょ?

メニューは大事。

前回、外国からのお客様が増えてる話を書いたけど、
日本には、フランス語でメニューを書いてる店は少ないみたい。
書いてあっても、でたらめだったりするそうだ。
うちは大丈夫ですか?って笑いながら聞いてみたら
  パルフェ!  だって。

フランス語のメニューは、
基本的に冠詞はいらないから、比較的簡単だ。
性と数の一致を気を付ける。
それだけなんだけど、見てて恥ずかしくなるって。その気持ち僕もわかるな。

メニューを決めてるのはきっと責任者(シェフ)なんだろうから
メニューの構成も経験で分かってるはずだし、
フランス語もそれなりに勉強してるはずじゃない?

でも、でたらめなの多いんだ。
ほんと多いよ。
名詞と動詞と過去分詞と形容詞が順序ばらばらに並んでて、
暗号を解読するみたい。
性と数もめちゃめちゃで、ダメだこりゃって感じ。

僕なら、そんな店には絶対行かない。

書けないなら、書かないほうがまし。そう思うよ。
フランス語やフランス料理が分かってる人はそんな店には近づかない。
だって、ちゃんとした料理やワインが出てくる予感ゼロじゃない。
メニューもかけないのに、料理だけは作れる?ありえないでしょ。
意味も分からず、ただ習ったことを真似してやってるだけ の証拠だね。


フランスの料理だから、フランス語でメニューを書くのが
いちばん書きやすい。
当たり前だよね。
だから食べ手だって、フランス語のメニューを読めたほうが
もっとフランス料理が楽しめるし、
もっと身近に、もっと美味しくなるはずなんだ。

忘れないで。日本語で書かれたメニューは
あくまでフランス語のメニューの和訳でしかない。
もしくはフランス語をむりやりカタカナに当てはめただけのフリガナなんだ。

読めなくても、意味が分からなくても
頑張って、フランス語のメニューに注目してほしい。
そこには、フランスにしかない食材や調理法だったり、地方名、偉大な人名、
そして、料理に、その一皿に込められたキュイジニエの思いがあふれているんだ。
日本語訳では表現出来ない、微妙なニュアンスまで表現されている。
アルファベットを追っていくだけでも構わないって思う。
分かる単語が出てきたら、突破口が開けたって感じだし、
無限に広がるフランス料理の面白さが、ほんの少し垣間見れた気になれるはずだ。



珍しく真面目なブログでしょ?
ずっと思ってることがあって。

日本にフランス料理が入ってきたころから何十年も経っているのに
いまだに、Aコース、Bコース、シェフおまかせコース
から抜け出せないのはなんでだろう?って。
フランス料理と聞いて、頭に浮かぶ料理がどれだけあるかな?
漠然としたオシャレな料理?

50年前ならそれでもよかった。
分かりにくさ回避のために、日本の偉大な先輩たちが考えに考え出した
フランス料理が受け入れられるための方法だ。
でも、それから時代が変わっても、その便利なシステムに甘えてしまった。

食べ手は、見合った金額を払うだけで
少量多皿のひと口料理を次から次へと食べては下げられの繰り返し。
料理名もソース名も調理法もなにも記憶に残らないまま、
美味しい時間だけが過ぎていく。
結果、家に帰ったころには何を食べたかも曖昧だ。
記憶に残らないから写真で記録する?…なんだかね。
僕もなんども経験してるし、誰しもこんな経験したことがあるはず。

これは、間違いなく店側の責任。
フランス料理店の怠慢なんだ。
雰囲気だけで取り繕って、
フランスの、フランス料理の本当の魅力を精一杯伝える努力を怠っていたんだよね。

この現状は変えていきたい。
フランス料理の間違ったイメージはどんどん取っ払っていきたいね。
溢れかえってる日本風の、ジャパニーズフレンチに落とし込んだ創作料理じゃなく、
ほんとうのフランス料理の面白さ、魅力。それを伝えていくのも、
本物のビストロ ” なら出来るんじゃない?



フランス語のメニューを見て、食べたい料理を注文する。
本来のフランス料理店の当たり前だったはずの姿。

日本語をなくすわけにはいかないけど、
黒板のメニュー表記、がらっとすべて変えるからね。


追記:こうなりました。


その店の実力は、メニューを見ればわかるよね。


ランスよりもフランスらしく
受け継がれてきた本物の味を。
 


「本物のビストロ」の証 “Bistrots Beaujolais” に認定されました。
2017公式ガイドブック GUIDE DES BISTROTS BEAUJOLAIS

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